一人社長でも株主総会は必要!決め事の際に株主総会を開くべし!

会社運営

株式会社を設立した際に一人社長でも株主総会は必要になるのか?解説していきます。

一人社長でも株主総会って必要なの?

そもそも株主総会とは何か。

株式会社は会社の株を発行しており、その株を所有している人すべてが参加権限のある会であり、会社が今後どのような方針で運営されていくか、会社が現在どのように儲かっていて、どのような問題点があるか、それらを株主全員に伝えるために株主総会は開催されます。

会社のためにお金を払ってくれているわけですから、株式会社は株主をないがしろにはできません。

場合によっては、株主の総意として会社の社長を交代させられるなんてことも起きうることなんです。

では、株式会社を設立して、一人社長として運営していく場合は?

役員は自分一人、従業員も雇わず、一般の人に株を買われてもいない場合、自分一人でも株主総会を開く必要はあるのでしょうか?

答えとしては、一人社長でも株主総会を開く必要があります!

ではどのようなシーンで開く必要があるのでしょうか。

どんな時に株主総会は必要なのか?

一人社長が会社を設立して一番最初に開く株主総会は、自分の役員報酬を決めるときです。

社長としての役員報酬を決める場合は、以下のルールに乗っ取って決める必要があります。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届け出給与
  • 利益連動給与

上記のルールに沿った役員報酬の支払い方をしなければ、役員報酬を損金として認めてもらえないので、法人税を無駄に払ってしまうことになります。

定期同額給与

定期同額給与とは、毎月必ず決まった金額の報酬を役員に支払う給与形態です。

役員には残業や有休休暇といったものが存在しないので、どれだけ働いてもどれだけ休んでも関係なく、毎月全く同じ額の報酬を支払うことで、定期同額給与として損金として認められるのです。

この金額は毎年新しい期が始まってから3か月以内に改定する期間が設けられ、変更する金額は必ず株主総会で同意を得ていないといけません。

株主総会を開かなかったり、新しい期から3か月以外の時に支払額を変更してしまうと、定期同額給与として認められず、今まで支払ってきた報酬は全額損金として認められません。

事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、税務署に報酬が支払われる時期と金額を事前に提出ことで、損金として認められる報酬となります。

基本的に役員については世間的なボーナスは存在しません。

しかし、事前確定届出給与にて予め支払う金額と時期を提出しておくことで、疑似的なボーナスとして扱われるのです。

一見とてもお得に思われる制度ですが、これは税務署に提出した場合、必ず指定した日時に指定した金額の支払いを行わなければなりません。

会社が好調な時期なら何も問題ないですが、会社の資金繰りが厳しい時や下火の時に時期を指定されていた場合は、苦しい状況でも必ず払う必要があります。

リスキーな方法でもあるので、役員報酬として事前確定届出給与を設定する場合は注意しましょう。

利益連動給与

利益連動給与とは、事業年度の利益に関する指標を基として役員に報酬が支払われる方法となります。

しかし、この利益連動給与は上記二つとは異なり、「同族会社」ではない会社であるという条件が付いています。

同族会社とは、会社の株主が三人以下で、これらとは特殊な関係にある個人、または法人が議決権の50%超を保有している会社です。

基本的に一人社長は自社の株を50%以上持っている場合がほとんどですので、同族会社として部類されてしまうため、利益連動給与は設定できません。

そのため、一人社長の場合は定期同額給与か事前確定届出給与のどちらかを選択しましょう。

公的書類として株主総会の議事録を残すべし

役員報酬の支払い方を決めたら、次に行うのは株主総会を開いて役員報酬額を認められた議事録を残すことです。

もちろん、一人社長の場合は株主は自分のみなので、世間的な大広間を借りて株主を集めて、皆の前で会社の事業報告や質疑応答をするといったことはやる必要はありません。

いつ、どこで開催され、どのような議題を行い、可決されたか、その証明は誰がするか。

といった内容の議事録を作成して、会社の実印を押印したうえで保存しておきましょう。

もちろん、役員報酬にはその議事録に記載された金額を払わなければなりませんので注意してください。

税務署対策として議事録は保存しておこう

ではなぜ議事録を保存しておく必要があるのか。

自分一人しか株主がいないなら、自分の頭の中だけで完結しておくか、別に印刷せずにデータで残しておくだけでもいいのでは?

このような考えはだめです。

必ず印刷し、会社実印を押印したうえで保存しておきましょう。

というのも、なぜ議事録を残す必要があるのかは、自社のためではなく税務署のためです。

どんな会社であれ、税務署の監査は必ず来ます。立ち上げてすぐは来なくても、3年に一度くらいは必ず税務署は会社の財政状況や申告漏れがないか調べに来るものです。

その際に調べられるのが公的書類です。

税務署は何年も前の状況も書類によって調べますので、きちんと書類に残しておくことで、昔支払われた役員報酬に対してケチをつけられないようにするためとなります。

3年に一度くらいならその時用意すればいいと思っても、彼らはいつ来るかはわかりません。

その時慌てて作るのではなく、予め株主総会を開催し、事前に書類をきちんと作っておくほうがよいでしょう。

まとめ

一人社長であっても株式会社を設立した場合は株主総会を開催する必要があります。

その際、どのような内容は話し合われ、可決されたかを議事録として必ず残しておきましょう。

作成した株主総会の議事録は10年間の保管義務も発生します。必ず本店にて10年間は保管してください。

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