会社設立と密接に関係してくる履歴事項全部証明書、この書類は創業時に一体何枚発行すべきなのか。どこで必要となってくる書類なのかを解説していきます。
履歴事項全部証明書とは
まず初めに履歴事項全部証明書とは、会社を創業した際に登録されている全ての情報が明記されている書類です。
登記簿謄本と混同される方も多いですが、登記簿謄本が電子管理されたものと考えれば大丈夫。
創業すると取得可能
履歴事項全部証明書は法人を設立する際、法務局に提出した書類をもとに作成されます。
そのため、法人を設立完了しないと履歴事項全部証明書は取得ができません。
例外を除き、法務局に登記書類を提出してから1~2週間ほどで登記が完了いたします。法務局に登記書類を提出した際に、登記完了時期を教えてもらえますので、その日付になったら再度法務局に訪問しましょう。
創業直後は何枚必要?
さて、初めて会社を創業した人は誰でも疑問となる、創業直後に履歴事項全部証明書は何枚必要となるか?です。
この書類は発行するために法務局へわざわざ赴く必要があるので、法務局が遠い場合は書類を発行するためだけに労力を割いてしまいます。
一応郵送でも発行は可能ですが、すぐに手元に届かないといったデメリットもありますので、可能ならば登記完了時に法務局へ出向いた際に必要枚数を確保しておいたほうが良いです。
では、一度に何枚発行しておくべきか。
おすすめは、最低でも5枚は一度に発行しておくべきです。
なぜ履歴事項全部証明書の発行数が5枚なのか、次の項目で解説したいと思います。
履歴事項全部証明書を使う場面を紹介
創業直後は履歴事項全部証明書を使う場面が多発します。前項で5枚は発行すべきと紹介しましたが、以下に必要となる場面を紹介いたします。
- 年金事務所
- 都道府県税事務所(コピー可)
- 銀行口座開設
- 日本政策公庫
年金事務所
まず初めに年金事務所です。
年金事務所へは創業して事業が開始した日から5日以内に健康保険・厚生年金保険新規適用届とともに履歴事項全部証明書を提出しなければなりません。
創業直後では創業者であるあなたの役員報酬額を年金事務所に報告し、基に年金と社会保険料を確定します。
履歴事項全部証明書を提出する場面としては、一番最初に年金事務所への提出を行うことになると思われます。
ここでは必ず必要となります。
都道府県税事務所
年金事務所同様、事業開始から3か月以内に都道府県税事務所に書類を提出する必要があります。
都道府県税事務所の履歴事項全部証明書の原本ではなく、コピーの提出で問題ありません。
下記で紹介している銀行などでもコピーは必要となってきますので、スキャンデータとして保存しておくと便利です。(尚、大抵の提出場面では直近3か月以内に発行された履歴事項全部証明書が必要となりますので、発行から期間が空いた場合は注意が必要です。)
銀行口座開設
仕事をしていくうえで必ず必要となってくるのは、銀行の法人口座です。
下記でも紹介する日本政策公庫や、様々な融資制度を受けるうえでも、必ず必要となってきます。
昨今ではネットバンキングのみならず、メガバンクや地銀もオンライン上で口座開設の受付を行ってくれています。
その際に、オンライン上での書類提出として、履歴事項全部証明書のスキャンデータを提出する場合があります。
都道府県税事務所でもコピーの提出を行っている場合には、必ずスキャンデータも確保しておきましょう。
口座開設の申請をしたすべての銀行にて口座が開設できるとは限りません。
昨今では、詐欺などのマネーロンダリングなどに利用されることを懸念し、口座開設が以前より難しくなっている傾向にあります。
その時に判断される書類として、履歴事項全部証明書は必ず必要となってきます。
そして、申請が通って正式に口座を開設する際に、原本の提出が必要となります。(銀行によっては銀行側が原本をコピーして返してくれる場合も)
銀行は開設が確実ではないので会社の近くにある支店にはすべて申請を出しておくべきです。そのため、ある程度の原本の枚数は必要となってきます。
前項で5枚発行すべしと紹介しましたが、そのほとんどは銀行の法人口座開設に使用すると思ってください。
日本政策公庫などの融資
事業を始める際に資本金を準備します。近年では資本金は1円でも可とされていますが、そもそも1円で出来る事業にも限界があります。
事業を始めるにあたって、ほとんどの方が創業融資など纏まった資金を必要としているものと思われます。
その創業融資として代表的なのが日本政策公庫です。
もちろん、ここでも履歴事項全部証明書は必要です。申請時はコピーでも問題ありませんが、正式に融資が確定した際に提出書類として必要となってきます。
わざわざ発行するために法務局に赴くのも手間ですので、何枚か余るくらい所持しておいてもよいと思われます。
余談ですが、日本政策公庫の創業融資は、資本金の10倍までが融資の上限額となっているようなので、1円創業の方は気を付けましょう。可能な限り資本金は用意しておいて損はありません。
日本政策公庫以外でも、保証協会付きの融資を受ける場合でも書類として必要となります。
都や区、市などの融資あっせん制度を利用することによって保証協会付きの銀行融資を受けることができますが、その際にも履歴事項全部証明書は必要となってきます。
融資を受ける銀行に提出してあったとしても、融資を行う場合は保証協会に書類を提出するため、別途必要となってきます。
銀行開設で処理しすぎて再度発行しにいくといった手間が発生しないようにしましょう。
社宅契約
会社経営の節税方法として有名なのが役員の住む家を社宅化して家賃を経費精算すること。
そのためにも、会社の立ち上げが完了したら不動産会社にて法人契約を進めましょう。その際に、履歴事項全部証明書の提出が求められます。
その物件を所持している人にもよると思いますが、コピーの提出でも可能となる場合もあります。
契約時に必要な書類を事前に問い合わせておきましょう。
まとめ
以上で、創業時に履歴事項全部証明書は何枚必要となるかの解説とさせていただきます。
最低でも5枚は欲しいと記載しましたが、これは確実に消費する枚数でもなく、また足りない可能性のある枚数でもあります。
発行するにあたり1枚600円(郵送の場合は480円)かかりますので、無駄に発行して3か月以上放置されてしまうのももったいないです。
自身の創業状況と相談しながら、発行枚数を検討してください。